原田弘琴

理由（わけ）あって、入院している。病名は、ヒ・ミ・ツだが、大したことではなく、一週間で退院する。
病名はヒミツだが、理由（りゆう）は、何となくわかってる。メチャクチャな生活、異常な精神状態。
ある日、「あ、マズイ！」と身体の不調に気づいた時、真っ先に思ったのは、「気づかなかったことにしようかな」と言うこと。自分には、立ち止まってる時間がない。明日、明後日も、その次もずぅーっと予定は詰まってる。ここで入院なんか出来るわけがない！
が、呆気なく入院。入院しても当初は、足踏みしながら「帰らなくちゃ！」とまだ思ってる。明日は大事な作品選別の日だから、絶対帰る！と、点滴の棒をカラカラ引きながら、まだ思ってる。
翌日の会の仕事は、幹部の手腕、会員の協力、ベテランの協力で、滞りなく完了した。自分はと言うと、時折送られてくるラインの画像を見て、カリカリしていたが、なんの役にも立たなかった。不在でも誰も困らない。私の病名は「人に任せられない病」だ！そう思った。
その後も、病室の机の上に、また、何やら仕事らしい本を積んで過ごしている私だが、明日退院という今日になって思うのは、
気づかせてくれてありがとう。
心が壊れる前に身体がブレーキをかけてくれたようだ。
また、明日からは、リングの上に戻るのだろう。そして再びヒートアップしていくのかもしれないが、束の間でも、日常の喧騒から一拍外れて、俯瞰できたことは有難いことだった。
書道の話ではなくて申し訳なかったが、私たちの仕事や作品作りには完璧がなく、拘束されてる時間よりずっとずっと長い時間、若しくは永遠に続く仕事で、それを他の人には理解されにくい。同じような生活をしておられる方がいるように思うので、敢えてここに書かせていただいた。