″桑原翠邦が求めた書″展…私が見た世界
一歩足を踏み入れると、そこには異空間が広がっていました。
更に、建物の中は外界と遮断され、厳粛な空気に包まれて、長い通路の天井と足元に和らいだ光が施され来場者を会場に導いてくれました。
そして、『桑原翠邦が求めた書』の巨大な文字が私達を迎えてくれたのです。
まず、入口の屛風作品に目を奪われ、暫く動けず、漸く中へ……
整然と飾られた作品の数々、ひとつひとつの作品には特別の想いが有り、何人もの翠邦先生が書かれたのではないか、と思う程でした。
堂々とたくましく
爽やかで清々しく
ふっくらと穏やかで
端正で慎ましく
その全てに惹きつけられ、限られた時間の中で最後の作品に辿り着くのは大変でした。
いったいこの展覧会で、先生は、何を伝えようとされたのでしょう。
広い会場の中の圧倒される作品に囲まれて、小さな本当に小さな自分の存在を感じました。
何が大切なのだろう?
何処に向かうのだろう?
そう考えた時、「翠邦先生の作品は生きている!」と思ったのです。
迷うことなく、揺らぐことなく、信じて歩む事……ではないのでしょうか。
帰宅後、作品集が届きました。
冒頭に、「心の書」という書宗巻頭言が掲載されており、先生の限りない書に寄せる想いが、熱く綴られていました。
私が今回目にした作品はほんの僅かであり、膨大な数の作品を全国に残されている先生が、それでも尚、「心の書」を作りたいと強く願われたという内容に感銘を受けました。
今、改めて、光ミュージアムで見た景色、静かなる躍動感を噛みしめているところです。
翠邦先生が帯広でお生まれになった事に、深いご縁を感じており、そして間もなくその十勝帯広で、『第2回十勝書芸展』が開催されます。
今回は、翠邦先生の屏風を始めとする作品コーナー、十勝の全書芸会員及び道内各地会員(友好出品)作品を展示致します。
会場で、皆様のお越しを心よりお待ちしております。
第2回十勝書藝展
2023/6/29(木)-7/4(火)
10:00~18:00
*最終日16:00まで
北海道・帯広市民ギャラリー
(帯広市西2条南12)
*JR帯広駅地下1階
主催 十勝書芸展実行委員会
後援 全日本書芸文化院
実行委員長 千葉豊翠
全日本書芸文化院会員、元会員による書展です。