子どもと一緒に文字と色が学べる文字絵本『ひらがないろは』ブックレビュー
牽洋
最近、絵本の世界へ。
ふと
「筆文字で書かれた絵本ってあったらいいな。あるのかな?」
と地域の図書館を検索してみた。意外とないな。ひらがなの本はあっても活字ばかりで見つからない。
そんな中、「ひらがな いろは」のタイトルに目が留まった。
かな書道の勉強過程での大きな発見は、ひらがなの字源(字母)を知ることができたことだった。書道に出会っていなかったら平仮名がどんな漢字から崩されてできたのか、深堀りすることのないままだっただろう。
日本で生まれたひらがなの美しいこと。漢字だけでなく仮名に興味をもったことで、ひらがなの字源を意識することができた。漢字からひらがなへの変遷は日本人の美しい心が沢山詰まっているようだ。
探していたのは、コレコレ!こんな感じ!と嬉しくなった。
「いろは」の順番に、筆文字の「いろは」と漢字からひらがなへの変化が1ページ1ページめくっていきながら知ることができる。伝統色と書のコラボレーションで日本の四季の移ろいを感じながら日本人の美意識に触れられる絵本。
ちょうど今年度(令和5年度)の全書芸学生版にある中学生ペン字課題「色の辞典」でも色が題材になっていたなぁ。と色の名前にも惹かれる。
巻末の『ひらがなの歴史』では、全書芸学生版の冒頭にある『書のあれこれ』のように漢字にはふりがながふられていて、子どもと一緒に音読したら楽しそう。
「万葉仮名」「草仮名」「平仮名」の語句の解説は、とても優しく大人が読んでもなるほど!とひらがなへの関心が湧いてくる。
この絵本を監修した加藤泰弘・東京学芸大学書道科教室教授の『ひらがなのすがた』の解説では、「ひらがなは、一つの言葉になろうとしてつながり、流れるように書かれた」とある。かな書の作品にある流れる連綿や傾き、散らしがひらがなの美しさを際立たせる要素だということに改めて納得できた。
筆文字で「あいうえお」の絵本に触れてみたいと出会った一冊。
全書芸の役員の先生方は東京学芸大学出身も多く、親近感がわき、
これは、ぜひ手元に置いておきたい!
と購入しようとしたら、ガビーン……絶版。っくぅぅ、、、残念。
しばらく探して探して、ようやく中古を手に入れた。
あと半年後か1年後かはわからないが、子どもと声を出して、この絵本を読める日に思いを巡らせながら、毎日、床に散乱した本やおもちゃをかき集めている。
文字絵本
『ひらがな いろは』
東京学芸大学絵本研究会・編
日本地域社会研究所 発行