全書芸歴史散策②中学・高校・大学用書宗教科書『新書範一 漢字篇(上)』

千葉豊翠
蒼庭子書院(北海道帯広市)

前回の全書芸歴史散策から2年も空いてしまいました。

今回ご紹介するのは『新書範一 漢字篇(上)』です。

発行:昭和25年5月。

編集者代表:高澤南總先生

定価60円

緒言に

「本書は、中學校、高等學校、大學用書道教科書として編集した。」とあります。

奥付を見ると新書範一は漢字篇の上下とかな篇の三冊からなっていたようです。

碑法帖の類は今私たちが全書芸で学んでいるものと多くは同じものですが、参考臨書作品は、丹羽海鶴、比田井天来、川谷尚亭・田代秋鶴といった錚々たる大家の作品。思わず目を奪われます。

そして見ていて楽しい😊

(以下、『新書範一 漢字篇(上)』より抜粋)

この出版に先立つこと昭和25年2月に全日本書芸文化院設立総会が開かれています。

当時の先生方の全書芸の船出にたいする並々ならぬ意気込みを感じます。

今から74年前のテキスト。

でもまったく色あせない内容。

むしろ私には新鮮にさえ感じられ、頭をクリアーにリセットして碑法帖に向き合いたいと思わせてくれるものでした。

全書芸の歴史の厚みと重み

やはり全書芸は凄い!!