紙の目

髙市乾外

「これ、いいね。」

若い時分、作品を淺沼一道先生に選んで頂いた。

「ありがとうございました。これを出品します。」

半切1/4位の金文の臨書だったか。
出品票に色々書いて先生に預けた。

「髙市君…。」
「はい」
「これ軸にしない方がいいかもねえ。」

軸の方がかっこいいかなと思った私。なんで?

「紙の目がね…。」
「目ですか…。」

紙を漉(す)くときに出来る目。それに重単宣、紙が厚かった。


紙の向きを横方向に使って書いたため、紙の流れ目がたて向きに。
目を縦に仕立てた軸を何かの機会に触らせてもらったことがある。
ごわんごわんして巻いても広がってしまう。
軸紐で止めると皺がよってしまいそう。

このとき「そういうことか」と理解できました。

洋紙でも目はある。
さわって、たわませたり、やぶってみるとわかりますよ。

書道紙の目の見分け方