こんなことがありました
イニシャルO
3月からの突然の休校。
2月の最終金曜日、学校に置いてあるものを全て持ち帰るように言われたのでしょう。普段でも重い通学カバンを肩から掛け、両手に持ちきれないほどの荷物を持って、5,6歩進んでは地面に置いて、休み休み帰って行く中学生の後ろ姿を見て、
「送ってあげたい…でもまだお稽古があるから…家までがんばれ!!」
と心の中でエールを送ったことが思い出されます。
休校に伴い、お稽古もお休みとしました。経験したことのない状況で、この先のお稽古をどうするか思い悩みました。
取り敢えずは「競書を出さなければ!」の思い、家で書いてもらい回収しました。
提出していただいた作品の選別をしていた時、ある女の子(仮にさくらちゃんとします)の毛筆の作品を見ていた時のことです。作品一枚一枚に名前が書かれていましたが、
「洋子…ん?」
「だいき…!」
さくらちゃんのお母様と、以前お稽古に通っていたお兄ちゃんの作品でした。お二人ともしっかりとした書き振りで、何枚も書いて良いものを選んだのだろうなと感じました。思いがけない作品にとてもほっこりとした気持ちになれました。閉塞感でいっぱいだった毎日に大きく窓を開けてくれました。
このことをお母様にお話ししましたら、
「こんなご時世で普段より時間に余裕があり、さくらちゃんが練習している姿に感化され筆を持った」
とのこと。書いている途中で所々さくらちゃんの指導が入ったようです。書いている間はとても集中していて、楽しかったと。そして
「また書きます!!」
と言ってくださいました 今の状況を悲観するばかりではなく、楽しむ様子に元気を頂いたある日の出来事です。