臨書

イニシャルO

暑い。


長い梅雨が空けた途端、とても暑い。
蝉の大合唱も相まって、一気に夏らしくなってきました。


夏になると小学生の頃通っていたお稽古を思い出します。 お稽古場は先生のご自宅の駐車場の上にあったプレパブの教室。今では当たり前のように使っているエアコンなど勿論なく、正座で決められた枚数の練習をします。膝の後ろにたまる汗を拭いながら…。


学生の間は「漢字」を習っていました。臨書も楽しく、何枚でも書けました。
しかし、大人になってから「かな」を習うようになって、集中力のない私は臨書が辛くなりました。
「かな」の臨書は原寸。直筆を心掛けながら、ほんの少しの線の傾きや長さ、字の中の「白」の部分の大きさや形に気を配ります。一直線に見える線もよーく見ると向きを変えています。筆も思ったようになかなか動いてくれず、あっという間に反古の山。やっと一枚仕上げるころには筆も上手く動くようになってきますが、夕飯の準備の時間。あっ、買い物もまだだった…。

出来たと思っていたのに、次の日に見直すと昨日は気づかなかった箇所が気になって、自分にダメ出し。

テレビから聞こえてくる「危険な暑さ」の日でも、今の時代はクーラーをつければ家の中では何とか快適に筆を持てます。 でも、ちょっと足りないものを取りに行った隙に、さっき擦ったばかりの墨の量が減っています。荷物の受け取りに行っている間に筆が乾いてしまっています。心が折れてしまいそうです…。


夏の臨書は、私にとって精神の修行です。