字体の区別(活字体・筆記体・異体字)
ペンネーム ひろ
通常のお稽古の他に、研修会、研究会などに参加しますが、その中で授業形式の勉強会(月2回)があります。
元は市民講座であった会が40年以上続いているそうです。お稽古ではなかなか勉強できない書の背景や学術的なことも学習できるので、参加して21年目となりました。
内容としては桑原翠邦先生の「書宗」や研究会の巻頭言集を一話ずつ講師の梶田越舟先生が読んで、各々の事柄について資料を用いて解説してくださり、
その後、古典の法帖を皆で同じところを半紙に臨書し、作品を黒板に貼って鑑賞します。法帖は何ヵ月、場合によっては2、3年かけて全臨します。
前置きが長くなりました。
本題に入ります。
その勉強会で先日学んだ事を、私なりの解釈で簡単にお話します。
「字体」について
今墓誌銘をその会で臨書中ですが、墓誌銘や造像記には、形態が違う文字が多く散見されます。
これは「異体字(別字)」といいます。
篆書から隷書に移行する時に起きた現象(これを隷変という)で、
- 秦と漢の文化の違い
- 篆書と隷書の書体構造
- 筆法の違い
に因るものです。
「偏類碑別字」羅氏原著 北川博邦 編
雄山閣発行より
では、字体とはどのように分類されるか、整理します。
- 活字体(新・旧)・・・実用のみの読むためのもの
- 筆記(写)体・・・書写上の便宜によるもの
- 異体字(別字)・・・篆書から隷書に移行するときに別異が生じたもの(隷変)
*「異体字」とは「正字」と体を異とするもの。
*「正字」とは活字体をイメージする人が多いのですが誤解で、「正字」は「説文解字」以来の字書に基づくもの。
「字体」の区別、ごちゃごちゃになっている方も多いかと思います。
字書をこまめに引いて違いを確認するしかありません。
創作作品を書く時などにも、字体の区別、認識をしておくと何かと便利ではないでしょうか。