十勝・帯広 翠邦浴 vol.4 真鍋庭園:「真正閣」其の二~失われた名作~
前回のお話は「真正閣が一般公開されていない・・・」というところまででしたね。
真正閣は、実は移築当時は一般公開されていました。
その内部は八畳の和室が二間と四畳半ほどの茶室の三部屋で構成されています。
真正閣が大正天皇、皇太子時代の「御便殿」であったことから、明治天皇御靴足袋をはじめ翠邦先生はご自身が所蔵されていた皇室に所縁のあるいくつかのお品を寄贈されます。そして先生は大正天皇御製詩集に収録されている御宸筆「仁智明達」の中の「明達」を全紙に臨書され、その作品が真正閣に展示されていました。
上の写真の左の女性の奥にかけられている作品が、当時掛けられていた「明達」です。
ところが、ある日心無い何者かによってこの「明達」が真正閣から盗まれてしまうのです。
この一件があったあと、真正閣は特別な催事以外は非公開となりました。
のちに翠邦先生が改めて「明達」を書かれています。
平成5年、翠邦先生88歳の作品です。
勿論真正閣に展示はされておりません。(^^;)