淡墨作品に触れた日~第50回全書芸展~
全書芸スタッフ
昨年2021年12月に開催の第50回全書芸展。立て看板のすぐお隣に展示されていた小泉移山先生の淡墨作品に触れることができました。
きっかけは2021年12月15日(水)に開催された古谷春峰先生のギャラリートークでのこと。
終盤、小泉移山先生のお作品の前で止まり、古谷先生がギャラリーに熱く語られたのは、墨のお話でした。この作品は、4種の墨を手で混ぜて作った墨で書かれた作品で…と始まり、墨の種類「油煙墨」と「松煙墨」のことや持参された固形墨をギャラリーの皆さんに紹介。とっても楽しいギャラリートークに参加することができました。
そして、後日…全書芸展最終日。作者の小泉移山先生が会場当番で会場にいらしたので6尺×10尺の淡墨作品についてお尋ねしてみました。
「先生のお作品、墨は手で調合されていると聞いたのですが」と小泉先生に歩み寄ってみると…
録音しておきたいほど、一から丁寧に解説くださり、早くも解説の途中から作品を視る目が変わってきたような…。不思議。
メインとなる墨は○○。2つの松煙墨を使用するが、松煙墨は粒子が粗いので、歙州硯(きゅうじゅうけん)を使用すると良い。
さらに滲み止めの2種の添加墨○○と○○で輪郭と立体感を出す。
300万くらいする高価な墨を使用すれば、調合しなくても良いのだけれど~笑笑
――3、3、300万円!?
水の温度や水質・天気も大切で、冷たいと滲まない。アルカリ性の強い水は適さない。
墨は人肌で馴染むから、手で練りながら海に落としていく。
晴れが続いている日が良くて湿気があると駄目でね…
と制作工程を聞きながら初めて聞く墨の名前やワードを携帯でメモメモ。
墨を作るまでの工程や工夫しているところについてお話を伺ったあと、目は作品全体へ。
作品の主画(しゅかく)はココ!!
方向・角度を変えている。
起承転結に、最初と最後は小さく。
作品の左上の文字は、音楽だとサビの部分に当たる。
平面のところに平面の文字を書いたら絵に負けちゃう。
だから書も立体感が大事。漢詩を並べただけでは不十分。
音楽のAABAのリズムのように作品を構成する。
などなど…
先生は、作品の見せ場や構成を音楽のように捉え、わかりやすく解説してくださいました。
ドラマーでもある小泉移山先生にしかできない作品解説は、まるで音楽を聞きながら書を見ているような感覚に。
何気なく目にしていた作品が、作者から話を伺った後に視る目が変わる瞬間。小さな楽しい経験でした。淡墨作品の初めて知る世界。
素敵だなぁ。なんかこの作品気になるなぁ。惹かれるなぁ。と思った作品があったら作者に聞いてみるが一番ですね。その作品の世界観に触れられる術!と改めて気づくことができました。
自分の知らない世界の話しを聞くことでができるのは、小さなワクワク。書は奥が深いなぁ~~と、また魅力を一つ発見です。
これからも「教えてください」の姿勢で勇気を出して作品と作者に歩み寄りたいと思います。
先生方よろしくお願いいたします。
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