漢字の成り立ち
ペンネーム ひろ
今日は、本(字書)をご紹介します。
「白川静博士の漢字の世界へ」 福井県教育委員会発行です。
金文や甲骨文を学ぶと、文字の成り立ちや起源が気になりますよね。
以前お話した勉強会(聿玩会)で金文を課題とした時に、「字統」という白川静先生の字書を用いて、一文字一文字調べて講義を受け、書き進めたことがあります。
この字書は、私には難しかったので、小学生向け漢字解説本「漢字の世界へ」が出版された時は、すぐに買い求めました。
白川先生は、古代の人びとの暮らしから「口」がさい(人が神様に願いごとをするために書いた文を入れる器の形)を表していることを発見した他、それぞれの漢字にはつながりがあり、いくつかの仲間に分けられるということに気づき、それまでとは異なった新しい考え方を確立しました。これを「白川文字学」といいます。
漢の時代の許慎が、秦の時代に使われた文字をもとに漢字の成り立ちを書いた字書「説文解字」ついても、象形、指示、会意、形声、転注、仮借(かしゃ)の六つの分類「六書(りくしょ)」がありますが、さいの発見を通し、それまでとは違った新しい解釈によって漢字の世界を作り上げました。
古代中国の人びとが、神と交信するために漢字が生まれたと考えられていますので、神にまつわる、サイや供え物、儀式、霊的なことから成り立ったとされる漢字が多くあります。また古代の生活が窺える漢字の成り立ちも興味深いです。
この字書は小学生一年から六年まで1006字を、学年別に配列してあり、下の写真のようにそれぞれの漢字の下に古代文字が朱色で大きく表されていて、とても見やすいです。小学生用ではありますが、大人にも十分対応する字書だと思います。
漢字のいろいろな成り立ちをわかりやすく説明している字書なので、一文字ずつ調べながら、遥か遠い昔の世界に思いを馳せることもまた楽しいかと思います。