淺沼一道先生の思い出-その3~小樽鰊御殿 銀鱗荘での再会~
今年に入って自宅の書道関係の資料を整理していました。その中に淺沼先生から頂いた手紙のファイルがあります。懐かしく読み返していると小樽銀鱗荘について書かれた二通の手紙がありました。
平成17年、今から17年程前に頂いたものです。
一通目は銀鱗荘の玄関額などを揮毫したので折りにでも見て下さい、という内容と二通目は銀鱗荘が大変喜んでくれて一道先生と奥様の啓雪先生を招待してくれたという内容のものです。
私も仕事柄、小樽銀鱗荘は大変有名な宿ということは当時から知っておりましたので子連れで泊まりに行くことなど中々ハードルが高く、先生には大変失礼ながらこの手紙のことを失念しておりました。
早速銀鱗荘のホームページを見ました。
(こちらをクリックして下さい)
施設案内のページに入ると、本館玄関の所に早速淺沼先生が書かれた「愛」があるではありませんか!!
そして本館のお部屋を紹介ページを見ると、そこにも一道先生の作品が写っていました。
矢も楯もたまらず、気がつけばじゃらんで宿泊予約を済ませていました。(;゚ロ゚)
当然懐の具合など気にせず、いや気にしていているようでは宿泊は出来ません・・・
予約してしまった言い訳だけが必要です。
『家内と娘と3人で久しぶりにおいしい食事と温泉でゆっくりしよう』
これに尽きました(^_^;)
勿論、憧れの宿です。食事と鰊御殿の建物そのものも楽しみで仕方がありません。
宿の方に事前に連絡をし、淺沼先生のことを伝え出来れば先生の書が飾られている部屋に泊まりたいと御願いをしました。
宿泊当日。できるだけ早めにと思い午後4時にチェックイン。
宿泊の手続きをしながら宿の方から館内の美術品は定期的に掛け替えをしているとのこと。現在各部屋には横山大観などの絵画が多く掛けられているとのことでした。期待が大きかっただけにかなりショックを受けながら部屋へ向かうと、廊下の突き当たりにありました。ホームページの本館玄関にあった「愛」です。
先ほどの宿の方の説明で一道先生の作品は見られないと諦めていた矢先のことですからこの一作ですっかり嬉しくなりました。
更に、館内は自由に見て回って結構ですよとのご説明でしたので早速お言葉に甘えてみましたら、
ありました!
ありました!
これもホームページの中の部屋の画像の中にあった作品です。
そして、大浴場の入り口前の「郷」。
もうここまで来れば大満足。
あとはゆっくり食事をして、温泉につかるだけです。
銀鱗荘は余市の網元猪俣安之丞氏が個人邸宅として建てたものを、昭和13年小樽に宿泊施設として移築したものですから、歴史ある豪壮優美さは北海道内屈指。
現在小樽市指定歴史的建造物に選ばれています。
食事場所には横山大観の絵が飾られていました。
この様な銀鱗荘のコレクションの中に淺沼一道先生の作品が並ぶということに、教えを受けた者としてとても誇らしげに感じられた二日間でした。
お世話になったお礼に、淺沼一道先生の喜寿作品集の中から幾枚かの作品と書歴のコピーをお渡しして宿を後にしました。