ようこそ全書芸一般部(漢字)~一般部の昇段級試験
土屋彩明
(新潟県見附市)
前までの記事で「子どもに教えるコツ」が一段落したので、これからしばらくは全書芸一般部(漢字)の話をしてみたいと思います。
時期的に、この春から新入会だったり、学生部から編入された方も多いでしょう。
そういった方のご参考になりましたら幸いです。
★この記事の内容はは2023年現在の物です。将来ルールが変更される可能性もあるので、受験の際は規定をよくご確認下さい。
さて、新入会や編入をされた方、そろそろ昇段級試験が気になる頃ではないでしょうか?
学生部から上がって来られた方がまず「学生部と違う!」となるのがこの昇試ですね。
学生部だと昇試は年に2回で提出作品は半紙1枚でしたが、一般部は年1回で一番簡単な半紙部でも半紙3枚セット提出になります。
受けられる部門や条件も段級によって変わってくるので、表にして整理してみますね。
段級別で整理すると大体こんなシステムですね。
表でも書いたように、全書芸では二段以上の方は「年間8回以上、月例条幅を出品していること」が昇試の受験条件になっています。
12ヶ月の中で8回も? と思うかもしれませんが、実は全書芸の月例条幅は臨書を出品する「漢字条幅」と創作や倣書で出品する「漢字創作倣書部」の2種類があり、これを両方出品すると1ヶ月で2回出品した計算になるのです。
更に、全書芸展に出品すると2回、書初大会に出品すると1回、全書芸の書道講習会に2日参加で2回、1日参加で1回を加算することになっているので、計算上は12ヶ月×2種類+5回分で年間最大29回分のチャンスがあります。
この中から好きな組み合わせで8回以上出品していればOKなので、学校や仕事が忙しい時期はお休みしても案外どうにかなるのです。
ただ、チャンスが多いだけに「自分が何回出品しているか」を1年分振り返るのは大変です。
うちの教室ではお稽古場の壁に↓のような一覧表を貼って、出品したところにシールを貼ることにしています。
半紙受験でも出品券には「月例条幅を何回出品したか」を書く欄があるので、早めにこういうメモを取る習慣を付けると安心ですね。
また、師範部を受験する際はこれに加え「全書芸展出品証」と「書歴用紙」が必要になります。
「全書芸展出品証」は師範部受験可能な段級の方が全書芸展に出品すると貰えるシール(支部宛にまとめて届きます)で、貰ってから2年間有効です。
つまり師範部受験するためには「前回か前々回の全書芸展に出品していること」が受験条件になるのですね。
全書芸展の出品は例年9月末~10月初め頃ですから、来年受験を考えている方はそのつもりで準備をしておくと慌てずに済みます。
そして師範部受験には「書歴用紙」という専用の書類も必要です。
これは全書芸の事務局から郵送で取り寄せなければいけないので、地域によっては送ってもらうだけで何日もかかります。
やはりこれも早めに用意をしたいですね。
書歴用紙そのものは無料で貰えますが、切手を貼った返信用封筒を入れ忘れないようにご注意下さい。
そして肝心の作品ですが、これは各部門それぞれ
この3枚、もしくは4枚セットで受験になります。
ちなみにこれは出品すると、この3枚もしくは4枚を並べた状態で審査するのだそうです。
うちの支部では「並べた時に見劣りする作品が混じっていると良くないよね」と得意な書体を伸ばすだけでなく、途中からは苦手な書体をたくさん練習することが多いです。
こうして色々な書体が書けるようになるので、勉強するにも合理的なシステムですね。
年に1回しかない昇段級試験、どなたも悔いなく受験できますように願っています。