空き家
ペンネーム悪筆子
最近空き家や家の取り壊しが多くなり散歩する足取りも重い。
時折車で通る道からかつて習字を少しの間習った先生の大きな平屋のお屋敷が見えると
(まだこわしていない)
とほっとする。先生の家も空き家になって久しい。
「女学校の大先輩で一流の書家でお人柄も穏やかないい方ですよ」
と紙店の店主に教えてもらい先生の家の門を叩き短い間習ったのはもう一昔も前のことになろうか。
物静かでどことなくのんびりゆったりした先生はかなも漢字も自由自在にこなした。漢字を習ったがかなももっていらっしゃいとおっしゃってくださり、条幅作品を選んでもらったり直してもらったりした。
やめてからも市の芸術展で大胆だがあくまでも古典の基礎を重んじる柔らかい墨色の先生の現代書道の作品を見ることがいつも楽しみだった。
だがいつの間にか先生の作品は姿を消し書道展も人数が減り回数も減っていった。
家も人もどんどん減っていく。古くからの文化さえ廃れそうで決して見通しは明るくない。 終
短い間でしたがブログにおつき合いいただきありがとうございました。ひとまずここで小休止いたします。
ブログコーナーを設けてくださった全書芸や係の方に深く感謝いたします。