表具師による造形表具の発表「第92回以白会表装展」~銀座・鳩居堂画廊~
全書芸スタッフ
毎年9月のお楽しみ。表具師たちによる展覧会『以白会表装展』が開催された。
表装とは…書画の保存や鑑賞のために、裂地(きれじ)や紙などを補って掛物(掛幅・掛軸)や巻物・巻子(かんす)、あるいは額、屏風(びようぶ)、襖(ふすま)、衝立(ついたて)、冊子(さつし)、帖(じよう)などに仕立てること。表具ともいう。
書道展では、いつもは裏方の存在だが、この展覧会は表具師たちが主役!
表装表現の場として、12の表具屋から14人の表具師が、書画に合わせたこだわりの軸作品を発表している。
全書芸展の展示作品の表装をお願いしている加藤聴松堂の加藤清美氏・中島霽月堂の中島大輔氏もこの以白会に所属。
全書芸メンバーBLOGでも【表具師霽月】でご登場いただいている中島霽月堂の中島大輔氏に、ちょうど会場で話を伺うことができた。
日本画は、今村雅弘氏(広島市立大学芸術学部教授)に師事。
表具は、加藤清美氏(加藤聴松堂)に師事。
クジラとゾウが融合した鮮やかな青色のが魅力的な作品。
右下には小さな落款「大」も押され、自作の画を自ら表装する中島大輔氏ならではのスタイルを発表。
見どころは、ちょこっと視線を落とした先にも。
軸先だ。
軸先の色や材質も表具師のこだわりポイント。
もう一つの作品は、毎年、小山みずほ先生の作品を表装した作品を発表している。
源氏物語「車争ひ」が漢字・カタカナ・英字・絵で楽しく表現されながら、古典文学に合わせるように落ち着いたトーンの表装。
軸先は先にいくにつれ、すぼまっている珍しい変形軸先が面白い。
師である加藤聴松堂・加藤清美氏の作品からは、
いつも繊細な美しさと正確さが感じられる。
加藤聴松堂 加藤清美 装
裂地と裂地の境目にピーっと通った線が見える。
0.◯◯ミリの正確さを求められる繊細な世界観に惹きつけられる。
かな書の展覧会を訪れると
「雅(みやび)だなぁ・・・・・」と
心の中がキラキラとしてくるのだが、この表装展でも「雅(みやび)だなぁ」と上品な空気が流れていた。
次回、来年の開催予定は、【第93回以白会表装展】
2024年9月3日(火)〜8日(日)11:00~18:00(最終日17:00まで)
銀座鳩居堂3階画廊
来年は全書芸の会員の皆様もぜひ銀座へ。
【主催】以白会
【出品者】小林般若堂・林野彩雲堂・吉澤白雲堂・加藤聴松堂・美術表装岡忠・中島霽月堂・原汲古堂・今泉呉泉堂・出町竹苞堂・表具乃坂井商店・大場芳古堂・藤原詩光堂