柴田清泉先生を想う~十勝の書道の歴史を繋ぐ~

千葉豊翠
蒼庭子書院(北海道帯広市)

少しばかり日が経ってしまいましたが5月24日に逝去された柴田清泉先生についてすこしばかりお話ししたいと思います。
先生の略歴については門人であり全書芸常任理事の小助川蘭芳先生が全書芸誌8月号(2024年7月15日発行号)に寄せた追悼文に詳しくありますのでご一読いただければと思います。

第3回十勝書藝展の準備真っ只中の5/27、書友から清泉先生の逝去の一報が入りました。
少し前まで今年百歳を迎えられたと門人の方たちが喜んでいたところへの訃報でした。
先生は全書芸運営総務の現職でもありましたので、十勝書藝展の実行委員は即座に会場に先生の遺墨作品を展示することを決めました。しかしなにぶん展示する壁面が限られていたことと開催日までの時間に余裕がなく展示作品の確認に悩んでいたところ、御子息の柴田和男様が快く作品の提供を申し出てくださいました。更に実行委員から色紙作品の提供もあり何とか遺墨作品の展示の体裁が整いました。

第3回十勝書藝展柴田清泉先生を想う~十勝の書道の歴史を繋ぐ~蒼庭子書院(北海道帯広市)千葉豊翠
龍歌鳳翔
第3回十勝書藝展柴田清泉先生を想う~十勝の書道の歴史を繋ぐ~蒼庭子書院(北海道帯広市)千葉豊翠
座花酔月
第3回十勝書藝展柴田清泉先生を想う~十勝の書道の歴史を繋ぐ~蒼庭子書院(北海道帯広市)千葉豊翠
寂然不動
第3回十勝書藝展柴田清泉先生を想う~十勝の書道の歴史を繋ぐ~蒼庭子書院(北海道帯広市)千葉豊翠
青山澄我心
第3回十勝書藝展柴田清泉先生を想う~十勝の書道の歴史を繋ぐ~蒼庭子書院(北海道帯広市)千葉豊翠
焚香聴雨
第3回十勝書藝展柴田清泉先生を想う~十勝の書道の歴史を繋ぐ~蒼庭子書院(北海道帯広市)千葉豊翠
人生一徹


7月下旬には門人の方々による「柴田清泉先生を偲ぶ会」が設けられ、終始和やかな雰囲気のなか会を終えることができたと伺い大変うれしく思いました。

私は柴田先生に師事はしておりませんでしたが、先生の書の指導方法は書友から良く聞いていました。その指導方法はズバリ「感性」で伝える、でした。
作品の批評は「良い」か「悪い」か。
その中間がないと思えるほどの厳しさ。
昔ながらというと語弊がありますが、その指導方法で鍛えられた方々が沢山います。
先生の指導方法を聞いていると、
何を教えるのか?
ということを考えさせられます。
それは得てして道のりが遠回りとなるかもしれないですが、門人の皆さんを見ていると一人書の道を進むときにはかえってこの方が良い指導のようにも感じます。
先生のように豪胆な方がいなくなったのは何とも寂しい限りですが、偲ぶ会が開かれこれから先生を顕彰されていく兆しが見えた今、又十勝の書道も深みを増すはずと確信しました。