第3回十勝書藝展『桑原翠邦先生顕彰展 真鍋庭園所蔵作品』~十勝の書道の歴史を伝える~
今年で3回目を迎えた「十勝書藝展」は、帯広市民ギャラリーにおいて6月13日から6月18日の6日間開催されました。
書展の様子は全書芸スタッフによる「メンバーBLOG」で詳細なご紹介いただき、また特別展「紫陽花の”書”・道」展については先日担当された髙橋玲光さんが企画から開催に至るまでの”舞台裏”の様子をブログで紹介してくれました。
今回はもう一つの特別展「桑原翠邦先生顕彰展 真鍋庭園所蔵作品」について準備段階から会期に至るまでの様子をご紹介したいと思います。
翠邦先生の作品は前回の第2回展から展示を行っています。
その目的は「古典を重視した十勝の純正書道の歴史」を、翠邦先生を通して広く紹介したいということです。そして何よりも全書芸の会員の方に知っていただきたいとうことでもあります。
また、作品を大切に所蔵されている方に対して改めて敬意を表しそれを広く皆さんに見ていただきたいとの思いがあります。
2月下旬真鍋庭園の真鍋社長に作品借用についてお伺いしたところ快諾していただきました。
この時お願いした作品は次の6点でした。
一方構想のなかでメインにしたい作品は日本庭園内にある真正閣の刻字「真正閣」でした。
しかしさすがにそれを園外に持ち出すことはできません。そこで数年前に拝見したまくりの肉筆を思い出し真鍋社長に是非額装していただけないかとお話ししましたところこれも二つ返事でOKしていただきました。
額装の仕立てについては真鍋家のご家族皆さんで相談されたと伺っています。
地元のありさわ書道用品専門店の堀代表にもご尽力いただきました。
書展開催日が迫る中漸く納品され、開催日間際の2日前に真鍋家の皆様のもとに堀代表とお届けに上がりました。
⑦真正閣
幅200cm・縦65cmの堂々としたものです。
見た瞬間ご家族の皆さんが驚きの声を上げられました。
そして額の色、生地の色「よかったねぇ」と仰るのを聞いて私たちは心から安堵しました。
ほんの数十分ご覧いただきすぐさま作品を梱包し直し、拝借する他の作品と共に展示会場に向かいました。
作品の借用と並行して、どうしても真正閣の建物の写真も展示したい。
勿論「真正閣」の刻字も写ったものです。
そこで髙橋玲光さんを通じて写真家の山下僚氏に撮影の依頼をしました。
ボランティアでの協力をお伝えしたうえでこれも快く引き受けていただけました。
提供いただいた写真はなんとも言えない静かな雰囲気が写し込まれ、あたかも京都の庭園とも見紛うものでした。伺うとこの一枚の為に200枚以上撮影したとのこと。
ボランティアといえども写真家の作品。
妥協がないことに感動し、感謝の念が湧いてきました。
又、今回は書友の楠本天峰氏が本業の腕を生かし「桑原翠邦先生顕彰展」のプレート作成のボランティアを買って出てくれました。末代物の仕上がりです。
いよいよ会期が始まりました。
展示の仕上がり具合にはいつも不安が付きまといます。
それが拝借した作品となればなおさらのことです。
期待通りの展示ではなくがっかりされはしないだろか・・・と
早速、真鍋社長ご夫妻・真鍋会長ご家族が相次いでご来場されました。
展示をご覧になり、
「こんな風になるんだ~!」
「素敵な展示ですね」
と仰っていただけたことで苦労も吹き飛びました。
振り返ってみると、今回の展示もいろいろな方のご縁によって成し遂げられたと感じています。
翠邦先生の作品を展示できたということと同時に、先生を通じて新たな人とのつながりができたということも大きな成果であったと感じた今書展でありました。
改めてご協力いただきました皆様に感謝申し上げます。