お習字こども質問箱~墨液って何から作るの?
土屋彩明
(新潟県見附市)
Q 墨液って何から作るの?
A 黒い粉と接着剤、香料、水などからできています。
実は小中学生の皆さんがいつも使っている墨液と、大人の書家が作品を書いている墨は、材料が違います。
大人が使っている一番伝統的な墨は「油(もしくは松やに)を燃やして出た煤(すす)、ニカワ、香料、水」でできています。
小学校高学年以上の方は、理科の実験で物を燃やした時に出る煤(すす)を見たことがあるでしょう。
墨はあの黒い粉をたくさん集めて作られます。
でも煤(すす)は黒い粉ですから、紙に書いた時に紙に粉がちゃんとくっ付いてくれるように接着剤が必要です。
そのために入っているのがニカワで、これは魚や動物の皮や骨から作られます。
昔から接着剤に使われるとても便利な物ですが、どうしても獣くさいような嫌な匂いがします。
なのでその匂いを打ち消すために、昔から墨には良い香りのする香料が入っています。
よく「墨の香り」と言われますが、あれは実は入っている香料の匂いなのですね。
でもこの煤(すす)やニカワを使った本物の墨で墨液を作るととても腐りやすく(真夏だと半日で腐ったりします)値段もとても高くなってしまいます。
そこで考え出されたのが今小中学生の皆さんが使っている墨液です。
これは煤(すす)の代わりに石油から作る「カーボンブラック」という黒い粉を、腐りやすいニカワの代わりに合成樹脂という接着剤を使っています。
これだと嫌な匂いはしないので本当は香料はなくても良いのですが、少しでも本物らしい雰囲気が出るように香料も入っていますね。
墨液は手軽にたくさん練習するのに便利ですが、大人用の伝統的な墨もまた良いものです。
使ったときの書き味も違いますから、いつかチャンスがあったらぜひ書き比べてみて下さい。