小筆

ペンネーム悪筆子

筆先がガサガサになり小筆を買いに行く。

ガラスケースいっぱいに並んでいた筆も今は片隅にちょこんと置いてあるだけの店。もう仕入れない。

安いのください、安くてもけっこういけるのよ、こんな会話をしながらかつて買っていたが、安いものはもうない。高くてもいいと思い、店主お薦めの手頃な値段の筆を買い、早速書いてみると書き心地がとてもいい。翌日もう一度さらに買いに行く。少なくても数種類太さも数種類あり買いに来る人もいると言う。
どうせすぐだめになるけどと言うと店主が秘密めいたいたずらっ子ぽい笑みを浮かべて太筆と同じく全部おろしてよく洗って吊るしておくと少しはながもちしますと言う。小筆でやってはいけないことなので驚いた。
店主は小さい小箱からお釣りの五百円玉を二つ、100円玉も三個添えて渡したくれた。ちょっと嬉しい気持ちで店をを後にする。

家でやってみる。筆先がばらつき、しまったと思うが太筆と同じ書き心地も悪くはない。
長年店先で頼まれて小筆で書いていた店主。筆の陳列の木箱の中にもバラバラの筆先の綺麗なのが混ざっていた。墨はよく落ちるので長持ちするのかも知れない。
しばらく模索しなければと習字をする楽しみが少し増えた。

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