全書芸誌をお使いいただいている書道教室訪問Vol.1:千葉県松戸市「かな書道芳静会:田原芳琴・恵琴」

2025年1月6日の全日本書芸文化院の新年賀詞交歓会で岩本宗社長より「今年は動画配信にも力を入れていきます」の熱い言葉に、芳静会・田原恵琴先生より教室訪問の許可をいただきました。

10歳から書道を始められ今年2025年で88歳米寿を迎えられる田原芳琴先生のお教室訪問が実現しましたので第1弾の様子をご紹介いたします。

会場は、JR・新京成電鉄「松戸駅」から徒歩5分、千葉県松戸市の松戸市民劇場1階。


この日は5名の生徒様の添削の様子から拝見しました。

お道具を広げられ、先生の「どうぞ」のお声がけでお稽古スタートです。

トップバッター長谷川和子さんの手には、季節ごとにまとめられたお歌のリストとお洒落な葉書3枚。
その葉書に、即興揮毫される先生。
次はどれ?(どのお歌?)と次々とあっという間に3枚を書き上げられ一瞬でした。

今、取り組まれている臨書作品、全書芸月例競書課題の半紙・半切など持参される中、皆さん手元のファイルには素敵な色の紙を忍ばせていらっしゃるのが目に留まりました。生活の中の書を楽しむためのアイテムがキラリ。

そして各自書いてこられた作品を先生がお選びされると、皆さんの雅印コレクションのケースが卓上でパかっと開かれ、数々の印が登場。先生がその中から押印される瞬間、達成感とほっとしたような空気が伝わってきました。皆さん小品に押す小さな印をたくさんお持ちで、印を見ているだけでもワクワク感が漂います。

お稽古中盤には、日本橋馬喰町の四宝堂の方が書道用具を持って出張販売に来られており、お道具を稽古場で購入できる合理的な時間で、先生もとてもありがたいとおっしゃっていました。

最後は、小学校2年生から6年生までお教室に通われていて、1年前から田原芳琴先生の元でお稽古を再開されているという岡田千明さん。
芳静会では、新しい方には、高野切第一種・第二種・第三種を臨書してもらい、その方の特性を見極めておられるとのこと。全書芸の月例競書と並行して、その方に合った第〇種系統の古筆を選んで、紙のサイズを変え楽しみながら学んでいけるスタイルです。
この日、岡田さんは、「和歌の風景:産経新聞京都総局 編」の本と料紙も持参され、田原芳琴先生の即興書きを再び拝見。

「見わたせば 柳桜を こきまぜて みやこぞ春の 錦なりける」素性法師(古今和歌集五六)

目の前で先生が創作されるお姿をしっかりと目でとらえた後は、完成したお作品を持ってにっこりとこちらにも見せてくださいました。
かな書道を始めて間もなくても、このように間近で
先生の筆さばき、空間のとり方、息づかいを感じることで自然と創作への意欲も湧き上がってくると感じました。


皆さんの添削を終えた先生に、今までの歩みをインタビューしました。
人生での出来事を瞬時にパッとご発言されるお姿が印象的でした。
インタビューの様子は後日全書芸YouTubeをご覧ください。

インタビュー内容

  • 先生の全書芸歴/全書芸の好きなところ(良いところ)/かな書の好きなところ
  • 書を始めたきっかけ/どのような勉強をしてこられたか
  • 先生になるきっかけ/堀江知彦氏との海外訪問について
  • 書を通して身に付いた事/書を続けてきて嬉しかったこと・苦しかったこと
  • これから書に触れる方へのメッセージ

田原 芳琴 歩み

ヴィンチ美術家百科辞典

第一回芳静会書展(1983)

香川栄養学園創立者 香川綾氏とのご縁

堀江知彦氏との海外親善訪問

堀江知彦氏と一緒にスリランカ・ドイツ・ギリシャ・フランスなど世界各国を親善訪問して日本文化を発信してこられました。

社中展

  • 【毎年】芳静会秋の書展:松戸市文化ホール
  • 【3年に一回】芳静会選抜書展:銀座アートホール



本日のお稽古を終えた皆さんから田原芳琴先生についてお話を伺うと、
「ダメと言われたことはない。先生はいつも良いところを褒めてくださるんです。生活する中でいろいろなことがあっても、お稽古を休もうを思ったことがなく、どんな大変な時でも先生のお顔を見にいこうと思える。そんなお教室です」と先生との出会いを喜ばれておられました。

貴重なお稽古時間にお邪魔いたしました。
ご協力いただきました田原芳琴先生、田原恵琴先生、本間加苑さん、中村孝子さん、長谷川和子さん、岡田千明さん、佐々木雅子さん、ありがとうございます。
また、当日ご欠席だった松尾和子さん、芹澤和風さんほか、芳静会の皆さま長年全書芸で熱心にお勉強されていらっしゃることを田原芳琴先生より伺いました。

書は出会い。田原芳琴先生のお教室を通して全書芸とも出会ってくださりありがとうございます。今後とも、芳静会の皆さまのご健筆をお祈り申し上げます。

文:岩本朋代