作品づくりの参考に、雅印(落款印)の基本的な考え方について解説します。
本院の篆刻をされる先生方に雅印を依頼することも可能です。
ご希望の方は≪お問い合わせ≫よりご相談ください。
目次
押印について
- 書作品(東洋絵画にも)には、筆者の証として押印(雅印)が不可欠です。
- 書の作品は、署名し印を押して初めて仕上がったことになります。
- 同時に印は、作品に装飾的な効果をもたらす大切な役割をもっています。印を作品に押すことで一層の美しさが加わります。印は作品を引き立たせるものです。
印の書体について
- 基本的には篆書体ですが、かなの場合は、行書や草書の場合もあります。
漢字:基本的な押し方・位置
- 一般的に書作品には、三顆一組で押した方が格調が高くなります。書作品は格調を大切にするので基本は三顆一組が望ましいです。ただし、余白がない場合には無理に三顆全てを押す必要はありません。引首印は、右肩上部が狭い場合は、無理に押す必要はありません。
- 印の位置と間隔には定則はありません。全体のバランスを考え、作品が生きるように押すことです。
- 扁額の半切作品には、引首印を押した方が左右のバランスがとれることがあります。
- 現代書・少字数書・近代詩文書などの作品は一顆のみ押印することもあります。
- 一字書は、署名せず印のみ押すことが多いです。
- 最近は、印一顆のみの作品も多く、この場合は、白文・朱文どちらでも構いません。
- 作品の内容や筆者の表現感覚で、印の押し方や位置なども違ってきます。
漢字:刻す文字について
【三顆組:引首印(関防印)・白文印・朱文印を押す場合】
- 雅号をお持ちでない方は、印を作成する場合は白文(姓名印)を作り、雅号が決まってから朱文の雅印を作ることもあります。
- 朱文は雅号印を刻すことが多いです。
- 雅号がない場合は、雅語・吉語などの成語句を刻します。(遊印といいます。引首印も同様になります。)
- 白文は、姓名(例:全書太郎)の他に例として(例:太郎之印)・(例:全書太印)・(例:太郎印信)等と刻すこともあります。
- 雅号をお持ちでない方は、白文を(例:全書之印)、朱文を(例:太郎)として引首印と合わせて三顆にする例もあります。
漢字:印の形・サイズ(半切の場合)
- 7分(2.1cm角)か8分(2.4cm角)くらいが一般的です。好みによりこれより少し小さいサイズでも構いません。
漢字:印の形・サイズ(色紙・半紙の場合)
- 4分(1.2cm角)か5分(1.5cm角)くらいが一般的です。
漢字:印泥について
- 代表的な印泥には、光明・美麗・箭鏃があります。
- 日本の印泥もあります。(日光印・練り朱肉)使いやすいです。
かな:基本的な押し方・位置
- 作品の中に溶け込ませることが大切です。
- 作品の流れに沿って印を押します。行の末尾に添えて左側に押します。
- 押す印は、基本的には一顆になります。
- 白文、朱文どちらでもよいですが、基本は朱文です。
- 印のない場合は、押印の位置に、墨継ぎをせず、そのままの筆で行書か草書で「〇〇かく」(創作)・「〇〇臨」(臨書)と書きます。独立した一行にならないように注意します。
かな:刻す文字について
【一顆の場合】
- 名前(雅号)または名前(雅号)の一文字のみを刻します。
かな:印の形・サイズ(半切の場合)
- 漢字の場合よりやや小さめで、5分(1.5cm角)か6分(1.8cm角)くらいが一般的です。
- 変形印も使いますが、基本は正方形になります。
- 印の大きさは、紙の大きさだけでなく、書かれている文字の大きさや、朱文か白文かでも、変わってきます。
- 初めて印を作る場合は、朱文で形は正方形が良いです。
かな:印の形・サイズ(色紙・半紙の場合)
- 3分(0.9cm角)くらいが一般的です。
かな:印泥について
- 初めて持つ場合は、朱やオレンジ系の明るめのものを使用すると良いです。
押印時の道具
印褥台(いんじょくだい)
印を押す際に作品の下に置く台
印矩(いんく)
印を押す際に位置を定めるT字形またはL字形の定規
押印には、印褥台と印矩を合わせて使用すると良いです。
本院関係の先生方による雅印をご希望の方へ
本院関係の先生方による雅印をご希望の場合は、見本などの資料(価格・納期・サンプル等)がございますのでご希望の方は≪お問い合わせ≫よりご相談ください。
- 納期は約10日~1・2カ月程度となります。
- 変形印も承ります。
- その他外部の方のご紹介もいたします。
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