書道競書雑誌『全書芸』動画基礎編
初心者・独学の方に書道をわかりやすく学んでいただけるようお道具の扱い方から勉強方法の動画を配信しています。
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目次
基礎編:かな・墨のすり方
解説者:運営総務 大野幸子
墨の種類について
唐墨(中国製)と和墨(日本製)があります。
かなを書かれる場合は、和墨をお勧めします。
また、松煙墨・油煙墨の2種類があります。 油煙墨(菜種油など植物の煤を膠で固めたもの)を使用すると粒子が細かく、漆黒の色で綺麗な発墨になります。
墨のすり方について
早速磨っていきましょう。
- 墨池『池』の部分に水を入れるのではなく、『陸』の上に水を垂らし、磨墨(まぼく)します。
- 硯の平らな広い場所(陸の部分)で、十分濃くなるまで墨池には墨を落とさず、大きく腕を動かして「の」の字を描いたり、上下に滑らせるように静かに磨っていきます。
*磨り方は、直角に硯に当てる場合と、斜めに当ててする場合があります。向きを時々変えると墨の減りが均一になります。 - ある程度磨っていくと、墨を回した跡が見えてきますので、墨が濃くなっている証拠です。墨が濃くなったら、一度、墨池(池の部分)に墨を落とし、『陸』をきれいにします。
- 改めて【陸】に水を差して磨っていきます。この繰り返して墨池に墨を貯めていきます。
- 磨り終えたら、墨をそのまま放置するとひび割れの原因になるため、必ず書き損じた紙などの反古紙(ほごし)でふき取ります。
★ポイント
硯の『陸』で大きくゆっくりと腕を動かして静かに磨りましょう。
『池』に墨を落とそうとした時に墨が動かないのは磨りすぎです。
基礎編:かな用小筆の扱い方
解説者:運営総務 大野幸子
小筆の種類
今回ご紹介するのは九段下・玉川堂の『玉鳳』という小筆になります。
〇玉鳳(大)は、半紙に全書芸誌の新規から7級までの「いろは」8文字程度や5・6級の2~3文字の連綿などを書くには、毛量・穂の長さもちょうど良いです。
〇玉鳳(小)は、古筆の臨書に良いです。
毛の種類
兼豪(けんごう)という何種類かの動物の毛を使って作られた筆を使われるのが良いです。
筆の形
柳葉筆(りゅうようひつ)や面相筆(めんそうふで)などがあります。
最初は、柳葉筆を使われるのが良いです。
小筆のおろし方
小筆をおろして書いてみましょう。
- 糊で固めてある穂先から1/3程度を指で丁寧にほぐしていきます。
- その後、おろした1/3よりも少し多めに墨をつけると良いです。
小筆の持ち方
人差し指と中指の間に筆を挟みます。外側から親指が飛び出すように持ちます。
〇人差し指一本を筆管(筆の軸)にかけるのが単鉤法(たんこうほう)といいます。
〇人差し指と中指の二本を筆管(筆の軸)にかけるのが双鉤法(そうこうほう)といいます。
手の置き方
初心者は、安定感のある提腕法(ていわんほう)か枕腕法(ちんわんほう)で書かれることをお勧めします。
●提腕法(ていわんほう)
手首は、机の上に置きます。指先までの手先はベタっと紙につけず、筆管(筆の軸)は垂直になるよう持ちます。(紙の上で手が大きく動かせるくらいの置き方で)
●枕腕法(ちんわんほう)
左手を紙の上に置いて、その上に右手を置いて書きます。手を汚すことなく書くことができます。
小筆の後始末
適宜工夫し、やりやすい方法をお試しください。ここでは一例をお示しします。
- 硯の端に、少々水を垂らします。
- 穂先がつくかつかないか程度に水をつけ、反古紙(ほごし)におおよその墨を落とします。
- さらに、反古紙やティッシュペーパーなどに、水を垂らし、優しく穂先の墨を落とします。
★ポイント
水のつけすぎ注意!グイグイ圧をかけない!優しく…優しく…。
小筆の寿命
かな用の小筆は、消耗品です。
使用頻度とお手入れの仕方次第で、その寿命は異なります。 穂先のばらつきや書き心地が悪くなったら、買い換えてみましょう。
紙について
かな用の半紙を「改良半紙」(かいりょうばんし)といいます。普通の半紙に比べ、墨を吸わないように改良されたものです。
基礎編:筆のおろし方
解説者:運営総務 大久保樹心
基礎編:筆の持ち方「 単鉤法と双鉤法 」
解説者:運営総務 大久保樹心
基礎編:線のひき方「 直筆と側筆 」
解説者:運営総務 大久保樹心